ポリ塩化ビニリデン(PVDC)とは

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)とは

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)は、酸素(ガス)バリア性、水蒸気バリア性のほかに、難燃性、耐油・耐薬品性などの特性をもつ樹脂です。一般的に、アクリルモノマーなどのコモノマーと共重合され、押出加工適性やコーティング適性が付与されています。工業的製造法としては懸濁重合法や乳化重合法が採用されています。乳化重合で得られたラテックスは基材にコーティングされるほか、塩析でパウダー状にしたレジンとしても使用されます。

なぜバリア性が高いか

結晶性が高い

気体分子が透過しづらい結晶性樹脂です。

密度が高い

密度が高いため、気体分子が透過する自由体積が小さいです。

親水基を持たない

親水基を構造中に持っていないことから、水蒸気を寄せつけません。

結晶化とバリアについて

PVDCは、結晶化することでバリア性が発現します。
そのため、延伸やエージングといった結晶化を促す工程が必要となります。

サランラテックス®コーティング手法

PVDCはコート用、単体フィルム用、共押出フィルム・シート用として多く利用されています。
そのうちのコート用としてはOPPやPET、ONy、PVCなどのフィルムにコーティングされることが多く、基材上に透明な膜を形成します。コーティング手法は水系エマルジョン(ラテックス)を使用したエマルジョン法と有機溶剤を使用した溶剤法が挙げられます。

エマルジョン法

  • 溶剤を使用しないため、安全性が高い。
  • 重ね塗りができる。

溶剤法

  • 塗膜欠陥が少ない。
  • 薄膜を形成できる。

サランラテックス®では、エマルジョン法が用いられ、その成膜プロセスは下図のようになります。基材にコートされたPVDC粒子は、基材に最密充填し、その後粒子同士の融着・分子鎖の拡散を経ることで、連続被膜が形成されます。

PVDCラテックスの成膜プロセス

Latex

サランラテックス®とは

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を主成分とした水系エマルジョンです。基材のフィルムなどに塗布することで、水蒸気バリア・酸素バリアなど優れた特性を発揮します。